2004 第2回生物学特別講義 

「組織切片の製作と観察および培養細胞による描画実験」
の詳細

2004年7月15日(木)・16日(金) 13:00〜16:00


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勉強したこととその背景

組織が作られる仕組み

単層シートの作られる仕組み

細胞から組織が成り立つ仕組みを、培養細胞の描画実験で確認しました。

細胞は互いに認識しあい、同種の細胞どうし接着し単層シートを作ります。この単層シートが様々に変形し組織がつくられています。これが細胞が組織を作る仕組みの基本です。この働きは様々なタンパク質などによって影響を受けます。

コラーゲンの働き

コラーゲンと呼ばれる結合組織に多いタンパク質は細胞を接着させ、組織の形を作り、維持する働きをしています。

一方、血液中に多いアルブミンと呼ばれるタンパク質は細胞を接着させません(今回の実験はこの性質を利用しました)。

また、カドヘリンと呼ばれる細胞表面のタンパク質にはいろいろのタイプのものがあり、おなじタイプのカドヘリンを持つ細胞どうし細胞を接着させる働きを持っています。このタンパク質が働くためにはCa 2+ が必要です。

これらの細胞接着のメカニズムを明らかにすることは、組織形成の仕組みを明らかにすることです。


コラーゲンと多細胞生物の進化

新しい考え方では、コラーゲンが多細胞生物の進化を可能にしたのではないかと考えられています。

コラーゲンはアミノ酸が一列に結合したポリペプチドが三本がらせん状に結合した、三重らせん構造をしています。これがコラーゲンのしなやかさと強さを生んでいます。

コラーゲンにはプロリンとグリシン呼ばれるアミノ酸が多く含まれています。プロリンは酸素によって酸化されると、ヒドロキシプロリンと呼ばれる親水性のアミノ酸になります。一方、グリシンは疎水性のアミノ酸です。

そのために、水溶液中ではグリシンを内側に(水と接触しにくい)、プロリンを外側(水と接触しやすい)になるように配置されます。その結果、三重らせん構造が作られると考えられます。

大気中の酸素濃度が6億年前に急上昇したことが、コラーゲンの合成を可能にしました。

そのことがが、多細胞生物の進化を促した可能性が指摘されています。

パラフィン切片の製作と観察

切片を観察すると組織の断面が見えます。実際の組織は立体的なものです。パラフィンブロックをミクロトームで薄切する体験をすることで、そのことがわかるはずです。

断面から立体的な構造を推定することが大切です。

教科書や資料集に出ている顕微鏡写真は染色をしたものです。その多くは今回行ったヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)をしたものです。


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