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特別編1培養細胞 特別編2ウニのクローン 総合学習@GFP 総合学習Aクロマト 総合学習B電気泳動 生物UラムダDNA解析
1年の総合学習で1回2時間連続の授業(金の5・6時間目)を8回とることが出来たので、この時間を使ってバイオテクノロジーの実習を計画しました。
6クラスの生徒全員から希望をとって11の講座に分けたので、生徒の人数は少なく(13名)モチベーションも高く、時間はたくさんあります。
そこで、通常の授業では出来ない、時間のかかる高度な実験をやってみようと考えました。 しかし、対象者は生物学の予備知識がほとんどない生徒です(1年では化学Tと理科総合Aを履修するため生物の授業は全くありません)。 したがって、この講座の計画自体がかなりの冒険でした。 そこで、以前担当者が行ったコミュニティスクールと呼ばれる、一般向けの公開講座で使用したテキストを元にして、予備知識のない1年生向けのカリキュラムや教材の工夫をしました。
詳細は担当者のHPを見てください。 http://www.geocities.jp/nomuk2001/community2/co2annnai.htm
形質転換の実験は(GFPの遺伝子を大腸菌に組み込む)はバイオラッド社の高校生向けのキットで行うことが出来ます。
さらに、組み換え体を培養してGFPを作らせ、カラムクロマトグラフィーでGFPを精製し、電気泳動でGFPの分子量を決めるという一連の実験を計画しました。
バイオ実験の体験をします。
長時間にわたる一連の実験を体験し、バイオテクノロジーや生物学に関する興味関心を高めます。
遺伝子組み換えや電気泳動の原理の基礎を理解させます。
日時:2004年12月〜2005年3月
場所 :神奈川県立逗子高等学校 生物実験室
参加対象 :1年総合学習「遺伝子から見た生物」選択者13名
DNAとタンパク合成、遺伝子組み換えについての講義を行いました。
全く基礎知識がない1年生が対象なので、やさしく教える必要があります。
講義だけでは飽きてしまうので、実習も少しずつとり入れました。
1時間目にNHKの「生命 第1回」のDVDを見せました。2時間目はDNAについての講義とマイクロピペットの使い方の練習をしました。
1時間目にタンパク合成の仕組みと遺伝子組み換えの原理についての講義をしました。
2時間目は無菌操作の練習を行いました。
培養に使うシャーレにマジックで名前などを書き、簡単な無菌操作の練習をしました(机上をエタノールで消毒し、アルコールランプが作る上昇気流中で操作をします)。
実験を成功させるためには他の菌が培養中の大腸菌に混入しないように注意する必要があります。そのためには無菌操作と呼ばれる方法で操作をする必要があります。
完全な無菌操作を行うためには、無菌室や美菌箱が必要ですが、十分に手を洗い、70パーセントエタノールで消毒し、机の上を70%エタノール良く拭き、バーナーの作る上昇気流中で操作を行うことで、ほぼ無菌状態で作業をすることが出来ます。
また、培養中のシャーレなどは出来るだけふたを開けないようにし、フタは内側を下にして置きます。フタの内側には手を触れないようにし、菌に触れる器具はすべて滅菌済みのものを使用します。
同時に培養している菌が外に漏れたり、扱っている人に感染しないようにしなければなりません。
実験中は窓やドアを閉め、実験室から出るとき、またはいるときには必ず手を洗うようにします。
白衣を着てマスクや手袋をするとさらによいです。
菌が付いた器具は決められたところに入れて処理をします。(使い捨てのものは滅菌後廃棄し、捨てられないものは十分に消毒します。)
もし菌が手や机に付いたら70パーセントエタノールで良く拭き、実験終了後は机のうえを70パーセントエタノールで良く拭きます。
微生物を育てるために必要な栄養分を加えた溶液を培地と呼びます。
溶液のままの液体培地と寒天を混ぜてシャーレの中で固めて板状にしたプレート(寒天培地)があります。(左)
大腸菌を含んだ溶液をうんと薄めてプレートにまきます。(右)
一晩培養すると、1mmぐらいの丸い粒がプレートの表面に現れます。
これはコロニーと呼ばれ、1個の菌が増殖して出来た固まりが目に見える大きさになったものです。
プレートに100個のコロニーが出来たとすれば、そのプレートにまいた溶液には100個の菌が入っていた事がわかります。
この実験は大腸菌にP-GLOと呼ばれる3種類の遺伝子をあらかじめ組み込んであるDNAの断片を組み込むものです。
P-GLOはプラスミドと呼ばれる大腸菌などが持つ環状のDNA断片で、大腸菌の内部にはいるだけでもっている遺伝子が働きます。
P-GLOには次の3種類の遺伝子が組み込まれています。
プラスミド P-GLOの構造
組み込みに成功した大腸菌ではこの3種類の遺伝子が働くため、次のような形質を獲得するはずです。
バイオラッド社のキット1です。大腸菌k12株、PGLO、LB培地、アンピシリン、アラビノース、形質転換溶液、寒天培地などの試薬と使い捨てのシャーレやチューブがセットになっています。(左)*
昨日から培養してある大腸菌のコロニーをループでとり形質転換溶液を入れてある4本のチューブ(青2本、緑2本)に入れました。(右)*
形質転換溶液(塩化カルシウム水溶液)は大腸菌の細胞膜の性質を変化させプラスミドを取り込みやすくします。
「+チューブ(緑)」にP-GLOの溶液を10μlマイクロピペットで加えました。
「−チューブ(青)」にはP-GLOを入れません。
4本のチューブを42℃のお湯に50秒間つけました。
この操作で大腸菌の細胞膜は不安定な状態になり、プラスミドが大腸菌に取り込まれます。この操作をヒートショックと呼びます。
ヒートショックを与えています。(左)*
ヒートショックを与えたあと氷冷しました。これで不安定になった大腸菌が回復します。(右)*
その後LB培地を加え室温に10分ほどおきました。LB培地とはこの大腸菌がもっとも生育しやい培地です。LB培地で生育させると組み込んだ遺伝子が働き始め、アンピシリンに対する耐性を持つようになります。
10分後 4枚のシャーレに100μlずつ菌をまきます。100μlの溶液を培地に滴下し、ループで良くすり込みます。
緑チューブは遺伝子組み換えを行った大腸菌が、青チューブには遺伝子組み換えを行っていない大腸菌が入っています。
@ 〜Cの各培地は次のような成分を入れてあります。
LB培地とは大腸菌がもっとも生育しやすい成分が入っている培地です。
@LB培地にアンピシリンを加えたもの
ALB培地にアンピシリンとアラビノースを加えたもの
BLB培地にアラビノースを加えたもの
CLB培地のみ
@とAにはP-GLOを組み込む操作(形質転換操作)を行った大腸菌を(緑チューブ)
BとCには形質転換操作を行っていない大腸菌を(緑チューブ)をまきました。
@LB/amp LB培地+アンピシリン+緑チューブの大腸菌
ALB/amp/ara LB培地+アンピシリン +アラ ビノース+緑チューブの大腸菌
BLB/amp LB培地+アンピシリン+青チューブの大腸菌
CLB LB培地のみ+青チューブの大腸菌
培地に菌をまいています。(左)*
シャーレをまとめてテープで止めます。(右)*
テープで止めたプレートは37℃で24時間培養をしました。
その後、冷蔵庫に入れ次の授業まで保存をしました。
可視光で見たものです*
ブラックライトで紫外線を当てます。
紫外線を当てて見たものです*
@のプレートには図のようにして点線で囲んだ部分に後からアラビノースを滴下して数時間後のものです。
次の表が各班の今回の結果です。一番左が班の番号。あとはコロニーの数です。空欄は培養に失敗して数が数えられなかったものです。
C LB 組み換えなし
組み換えを行っていない菌はアンピシリンを含まない培地で、どの班も多数生育しました。
100倍・1000倍希釈したものに生育したコロニーの数から、数千から数万個の菌が生育したと推定できます。
B LB/amp 組み換えなし
組み換えを行っていない菌はアンピシリンを含み培地では全く生育できませんでした。
@ LB/amp 組み換え体
数個から100個程度の白いコロニーが出来ました。(4班では全く生育していません)これがアンピシリンを含む培地で生き延びた組み換え体です。紫外線を当てても蛍光を発しないことから、GFPは作られていないことがわかります。
白いコロニーにあとからアラビノースの溶液を滴下すると、数時間後には緑色の蛍光を発しました。アラビノースの働きで、GFPの遺伝子のスイッチがオンになったことがわかりました。
A LB/amp/ara 組み換え体
数個から100個程度の緑色の蛍光を発するコロニーが出来ました。声がアンピシリンを含む培地で生き延びた組み換え体です。さらに、培地にアラビノースを含むために組み込んだGFPの遺伝子のスイッチがオンになり、GFPが作られたことがわかります。
Cのコロニーの数の推定
Cのシャーレにはぎっしり菌が生えていてコロニーの数を数えられません。そこでCと同じ培地に青チューブの中身を10倍・100倍・1000倍・10000倍と薄めて同じ量をまきました。数えやすいシャーレのコロニーを数え、薄めた倍数をかければ元のシャーレのコロニー数を推定できます。
希釈した菌をまいたプレートです*
このページの続きです 総合学習Aクロマト
写真の説明の後に*があるものは今回の実習の時に撮影したものではありません。
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