<<基礎的な顕微鏡観察から最新のバイオ実験まで・実験観察を行いながら生物学を学ぶ一般対象の講座の記録です>>

2003 神奈川県立逗子高等学校 コミュニティスクール

全日程を終了しました

サイトの表紙  別館の表紙は http://seibutunomu.hp.infoseek.co.jp/ です    内容の紹介

第1回 11月8日(土) 細胞とは何か 

第2回 11月15日(土)細胞分裂時遺伝子はコピーされる   
第3回 11月29日(土)細胞から組織ができている 第4回 1月10日(土) 第5回 1月11日(日)遺伝子の内容を読んだり、書き換えることができる 遺伝子組み換え DNA鑑定
第6回 1月17日(土)生物の進化とDNA
第7回 2月14日(土)1個の細胞から体が作られる  時間は13:00〜16:00 場所は逗子高校生物実験室

講師からのメッセージ

県立逗子高等学校では生物学の実験観察を中心とした一般向けの公開講座(コミュニティスクール)を実施しました。

高校の生物の授業で行われている、古典的な実験観察から、最新のバイオテクノロジーまで、段階を追って勉強しました。キーワードは「遺伝子」「細胞」「組織」「発生」「個体」「進化」です。遺伝子から個体のレベルまでの生物学を遺伝子の働きを軸にして勉強しました。

遺伝子に関する知識だけを勉強しても生物そのものを理解したことにはなりません。遺伝子について正確に理解するためには基礎的な生物学の知識が必要です。又、生物について正確に理解をするためには遺伝子に関する知識が必要です。

いま、マスコミでクローン、遺伝子組換え等バイテクノロジーの話題が盛んに報道されています。しかし、その内容は正確に理解されているでしょうか。バイオテクノロジーは人類に大きな利益をもたらす技術であると同時に、様々な社会的な問題を生む可能性のある技術でもあります。正確な理解が必要です。

この講座のねらいは、基礎的な生物学から最先端のバイオテクノロジーまでをトータルに理解しようというものです。

最近、高校向けのバイオテクノロジー実験キットが日本でも発売されました。文部科学省でも高校で遺伝子組換え実験を行うためのルールを決めました(教育目的組換えDNA実験指針)。高校で基礎的な遺伝子組換えの実験を行うことが可能になりました。

この講座の4回、5回はアメリカのバイオラッド社製のバイオテクノロジー実験キットを使った実験を行いました。

講師 逗子高等学校 理科 教諭 野村 浩一郎

日程と内容の紹介

第1回 11月8日(土)13:00〜16:00 細胞とは何か

講義:生物の体を作っている基本単位である細胞はどんなもので、何をしているのでしょうか。細胞の講造と働きについて学びます。細胞の核と呼ばれる部分には遺伝子と呼ばれる生物の設計図があります。遺伝子はDNAと呼ばれる物質に情報が書き込まれたものです。遺伝子についての基礎的な学習もします。

実験・観察:顕微鏡の使い方を学び、実際に何種類かの細胞の顕微鏡観察をします。顕微鏡はかわいがって使いましょう、それぞれくせがあって結構かわいい道具です。細胞にもそれぞれ個性があります。結構かわいい生き物です。

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ツユクサのおしべの毛の細胞です

第2回 11月15日(土)13:00〜16:00 細胞分裂時遺伝子はコピーされる

講義:一つ一つの細胞はその細胞に必要な遺伝子だけでなく、全ての遺伝子を持っています。そのために体の細胞からクローンを作ることができるのです。従って細胞が分裂してふえる時に全ての遺伝子が正確にコピーされます。その仕組みについて学びます。

観察・実験:細胞分裂の様子を観察します。タマネギの根の細胞が分裂する様子を各自でプレパラートを作り顕微鏡で観察します。プレパラートを作るのにはこつがいります。観察にも少しこつが必要です。2回目ですからうまくできます。

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タマネギの根の細胞の分裂です

第3回 11月29日(土) 13:00〜16:00 細胞から組織ができている

講義:われわれの体はたいへん多くの種類の細胞からできています。同じ種類の細胞が集まり組織と呼ばれるまとまりを作り、異なる組織が組み合わさって器官ができています。さらに様々な器官が組み合わさって個体ができています。どの様な仕組みで組織が作られているのでしょうか、そこで遺伝子はどんな働きをしているのでしょうか。

実験・観察:様々な組織の観察をします。細胞がどの様に組み合わさっているのかを観察します。観察は1/200mm程度にスライスしたプレパラートを使います。立体的な実際の構造を推定するために少し頭を使います。

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上:ニジマスの稚魚の切片    下:ニジマスの腎臓

第4回 1月10日(土) 第5回 1月11日(日)13:00〜16:00

遺伝子の内容を読んだり、書き換えることができる。遺伝子組み換え DNA鑑定

講義:遺伝子組換えとDNA解析を中心にバイオテクノロジー全般について学びます。バイオテクノロジーは研究段階から、応用段階に入り、医療、農業、工業の様々な分野で利用されつつあります。バイオテクノロジーが社会に与える影響についても考えます。

実験・観察:大腸菌にクラゲの発光タンパク質(GFP)の遺伝子を組み込む実験と、DNAフィンガープリントと呼ばれる、DNAに書き込まれている情報が同じであるかどうかを調べる実験を行います。この方法はSARSウイルスの検出や犯罪捜査などに使われているものと同じです。実際にバイオテクノロジーの実験がどの様に行われるのか体験し、遺伝子を組換えた生物(組換え体)やDNAの取り扱い方を学びます。

緑色の蛍光を発する大腸菌はたいへんきれいです。理論がわかるともっときれいに感じます。

DNAフィンガープリントを行いゲル(寒天の板です)を染色するとDNAのバンドが見えます。バーコードのようなただのすじですが、その意味がわかるとしばらく眺めていたくなります。

*遺伝子組換え実験はBIORAD社のBiotechnologyExplorerキットを使い、文部科学省の「教育目的組換えDNA実験指針」に従って実施します。

 

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上:マイクロピペットで電気泳動用の試料の準備。

下:DNAフィンガープリントの結果です。

下:GFPの遺伝子を組み込むことに成功した大腸菌に紫外線を当てると緑色に光ります。

第6回 1月17日(土)13:00〜16:00 生物の進化とDNA

講義:バイオテクノロジー実験のまとめを行います。その上で、生物の進化と分類についてバイオテクノロジーの技術を使うことで明らかになってきた最近の考え方を学びます。最後に全体をとおした質疑応答を行います。

*やや予定時間を過ぎるかもしれません。  クリック!

第7回 2月14日(土) 13:00〜16:00 1個の細胞から体が作られる

講義:1個の細胞である受精卵から体が作られることを発生と呼びます。ウニの発生を例にとって実際に発生はどの様に進行するのか学びます。その時遺伝子はどんな働きをするのか学びます。この分野は最近バイオテクノロジーの応用により新しい発見が相次ぎ、生物学の中で最も熱い分野になっています。

実験・観察:バフンウニの人工受精と発生の観察を行います。うまくいけば受精の瞬間や細胞分裂の瞬間を観察できます。卵のまわりに精子が集まってくる様子は何回見ても感動的です。

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ウニ胚の細胞分裂の様子

申し込みは13名ありましたがキャンセルが1名ありましたので、12名で実施することになりました。

内訳は逗子高校学校関係者(生徒保護者、卒業生、職員)が3名。ほかは一般の方です。

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講師のメールアドレス 
迷惑メール対策のため○を@にかえて入力してください
nomuk2001○ybb.ne.jp

前回のコミュニティスクール 実験観察で学ぶやさしい生物学T のHPは別館にあります

http://seibutunomu.hp.infoseek.co.jp/

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