神奈川県立逗子高校 2006生物学特別講義の記録

第1回系統分類
第2回メダカの遺伝
第3回ウニの発生
第4回培養細胞
第5回大腸菌の形質転換
 
 
 

 

実物に触れる生物学2006・分類、遺伝子、細胞、組織、発生、遺伝とDNA

神奈川県立逗子高等学校では、大学の研究者に講師をお願いし、実験や観察を中心とする特別授業を行っています。生物の授業と関連の深い発展的な内容の実習を体験させることと、現役の研究者の指導を直に受け研究の一端に触れることがねらいです。

今年は3年生物Uの授業の一環として必修を2回、選択(3回のうち1回以上参加)を3回計画しています。夏休み中に行ったものに関しては1・2年生の希望者も参加しました。

詳しい報告は順次掲載していきます。

第2回〜5回は文部科学省のSPP(サイエンスパートナーシッププロジェクト)として認められ予算が付きました


  News 

公開講座 
「やさしい生物学V」を実施します

@DNAとは何か

A遺伝子が生物の形や性質を決めている

B細胞が集まって組織を作っている

C蛍光顕微鏡による細胞の内部構造の観察

Dウニの人工受精と初期発生の観察

を予定。

11月〜1月の土曜日日曜日にに7日間の予定です。

対象は高校生以上です。

前回の公開講座の記録>>

今回の公開講座の案内>>

第1回 磯の動物を使ったボディプランに基づいた系統分類の実習 

日時・場所:5月30日 9:00〜17:00 東京大学臨海実験所  記念館及び周辺の磯

参加者:3年生物U選択者全員 60名で実施しました。

講師:東大臨海実験所 赤坂甲治先生・佐藤寅夫先生・吉田学先生・東郷建先生

内容・ねらい:磯浜の動物の生態を観察・採集し分類を行いました。その中で、体の構造を調べることで系統関係を明らかに出来る事、さらに形や構造は持っている遺伝子によって決まり、系統関係はDNAを調べることでわかるということを理解する事がねらいです。



アオウミウシです

第2回 メダカを使った二遺伝子雑種の交配とDNA解析実験 

日時・場所:7月21日 9:00〜13:00・24日10:00〜15:00・25日10:00〜15:00 
逗子高校生物実験室

参加者:3年生物U選択者は2・3・4回から一回以上選択。参加18名で実施しました。

講師:東大大学院理学系研究科 成瀬清先生 島田敦子先生

内容・ねらい:メダカの人工受精を行い、メダカの体色の遺伝の交配実験を行いました。さらに遺伝子型をDNA解析によって決定しました。古典的なメンデル遺伝と先端的な分子遺伝学の両方を同じ材料で体験し、両者が連続したものであることを理解する事がねらいです。また、メンデル遺伝で記号として存在する遺伝子が実際に存在することを実感することもねらいです。


メダカの胚です

第3回 ウニを使った発生の観察と蛍光顕微鏡による卵割時における内部構造の観察

8月1日・2日 10:00〜15:30  東京大学臨海実験所 新研究棟

3年生物U選択者は2・3・4回から一回以上選択。参加8名で実施しました。

講師 東大臨海実験所 赤坂甲治先生・吉田学先生・東郷建先生・黒川大輔先生

人工受精をさせたタコノマクラの発生を2日間にわたり連続して観察し、途中で胚を使ったいくつかの実験を行いました。中心は蛍光染色による分裂装置などの内部構造の観察です。プレパラートを作り蛍光顕微鏡を使って写真に撮る体験をしました。

発生そのものの理解と胚の卵割と内部の構造を関連づけて理解させる事、及び研究施設での実習を体験し研究の一端に触れることがねらいです。


  News 

 

細胞分裂中です。青く光っているのがDNAです。 当日生徒が作ったプレパラートの写真です

第4回 魚類の培養細胞を使った組織形成の実験と蛍光顕微鏡による細胞内構造の観察

10月5日・6日 13:00〜17:00 逗子高校生物実験室

3年生物U選択者は2・3・4回から一回以上選択して参加。

講師 東京海洋大学海洋科学部 羽曽部正豪先生

細胞が組織を形成する様子を培養細胞を使って再現する。細胞の内部構造を蛍光顕微鏡により観察する予定です。

組織形成の仕組みを知ること。ミトコンドリア、細胞骨格などの細胞の内部構造を実際に観察をすること。培養細胞を扱う体験をすることがねらいです。また、細胞の外部形態や働きは細胞の内部構造と関連があることを理解させることもねらいです。


アクチンの蛍光染色です

第5回 大腸菌のクローニングと形質転換実験

10月の授業の中で行う予定です。 各クラス4回。逗子高校生物実験室

3年生物U選択者全員

講師 東大大学院医学系研究科高山典子先生ほかを予定。

大腸菌からある形質の遺伝子を取り出し(クローニング)、別の大腸菌に入れると、遺伝子を入れられた大腸菌は入れた遺伝子の形質を持つように変化します(形質転換)。この実験は先端的なバイオテクノロジーの実験であると同時に、遺伝子の働きを直接証明する基礎的な実験です。大腸菌には対立遺伝子がなく、遺伝子型がそのまま表現型になるために結果がわかりやすいという特徴もあります。

遺伝子の働きと重要性を理解することと、先端的なバイオテクノロジーを体験することがねらいです。

 
大腸菌のコロニーです
 

神奈川県立柏陽高等学校

理科 野村 浩一郎

©2006 野村 浩一郎 表紙トップページ・第1回・第2回・第3回・第4回・第5回