神奈川県立逗子高校 2006公開講座

 
 
 

 

公開講座 実験観察で学ぶやさしい生物学V 遺伝子・細胞・発生を見る 案内


最初に作る予定のDNAの分子模型です(携帯ストラップになっています)。この分子に生物の全ての情報が記録されています。まずDNAから始めましょう。


ウニ胚の細胞分裂の蛍光像です。青がDNA、緑が分裂装置です。分裂装置の働きでDNAが二つに分けられていく様子がわかります。

予定通り実施しました

講師からのメッセージ

「生物学」の基本は生物そのものに触れる事です。そして生物の「謎」を知ることです。
しかし、それだけでは「科学」とはいえません。「謎」を解くためにいろいろの方法で調べ、わかったことを元にして「新しい考え」を作る。それが「科学」です。

顕微鏡で生物を観察するといろいろなことがわかります。いくつかの「謎」が解けるでしょう。同時にもっと多くの「謎」があることがわかるはずです。

遺伝子操作やヒトゲノムなどのいわゆる「バイオ」の話題が毎日のように報道されています。 しかし、生物について基礎的な知識や理解がないままにこれらについて理解することは困難です。

この講座では、古典的なメンデル遺伝や顕微鏡観察と新しいバイオテクノロジーや蛍光顕微鏡による観察を一体のものとして扱い、実験や観察の結果から何がどのようにわかるのかということを順を追って考えていきたいと思います。

実験と観察が中心の講座です。中学生でも理解できるレベルから始めますので予備知識がなくても大丈夫です。

バイオや生物学について興味がある人。報道されているバイオの話題を正確に理解したい人。実験が好きな人。高校の生物をやり直したい人。それぞれのレベルに応じて理解できます。

神奈川県逗子高等学校 理科 野村浩一郎

各回の内容    


GFPを組み込んだ大腸菌です。紫外線を当てると緑色の蛍光を発しています。

T、生命の設計図 遺伝子を見る!
  (遺伝学入門)

第1回 11月11日(土) 「DNAとは何か」 
遺伝子を作っている物質であるDNAの分子模型(携帯につけるストラップです)の製作とDNA抽出実験を行います。DNAとはどんな物質なのかまず知りましょう。

第2回 11月18日(土) 第3回 11月19日(日)
「遺伝子が生物の形や性質を決めている」

大腸菌にクラゲの発光タンパク質の遺伝子を組み込む「遺伝子組み換え実験」を行います。GFPと呼ばれる発光タンパク質の遺伝子を大腸菌に組み込むと、大腸菌が緑色に光ります。遺伝子は全ての生物に共通の言葉で書かれたタンパク質の設計図であることがわかります。


培養細胞の蛍光顕微鏡像です。DNAが赤、細胞骨格が緑の蛍光を発しています。

U、生命の最小単位 細胞を見る!
  (細胞生物学・組織学入門)

第4回 12月2日(土) 細胞が集まって組織を作っている
通常の顕微鏡で様々な種類の細胞を観察をします。タマネギ、ヒトのほおの粘膜細胞、動物の培養細胞、ゾウリムシなど。また、細胞が集まって多細胞生物の体が作られる仕組みを、培養細胞を使った組織形成の実験を通して学びます。

第5回 12月9日(土) 蛍光顕微鏡による細胞の内部構造の観察
蛍光顕微鏡を使うと細胞内の特定の物質だけを見ることができます。
また通常の光学顕微鏡では見ることが出来ない微細な構造も見ることが出来ます。蛍光顕微鏡を使って細胞内部の構造を観察をします。


受精直後のウニの受精卵です。卵に入れなかった精子が見えます。

V、生命のはじまり 受精と発生を見る!
  (発生生物学入門)

第6回 1月13日(土) 第7回 1月14日(日)
ウニの人工受精と初期発生の観察
バフンウニの人工受精を行います。精子が卵に進入し受精膜が作られる様子を観察できます。その後も細胞分裂の様子などを観察します。受精卵は翌日も継続して観察を行います。
また、発生中の胚を使ったいくつかの実験や観察を行います。蛍光顕微鏡を使った細胞分裂(卵割)の観察などをを予定しています。

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