1) ウニの受精を観察する。
2) ウニの初期発生を観察する。
検鏡用具
枠付き培養グラス(スライドグラスにビニールテープの四角い枠をはり付けたもの)
スライドグラス
カバーグラス
パスツールピペット×3(未受精卵用・精子用・受精卵用に色分けします)
時計皿×2(受精用と精子用)
黒の色画用紙(机が黒くない場合はあった方が操作がしやすいです)
海水(洗浄びんに入っている)
イオン交換水(洗浄びんに入っている)
ビーカー200ml(廃水用)
精子(小さいシャーレに入れます)
卵(50mlビーカーに入れます)
@ ビーカー300mlに電気刺激装置をセットする。
A ウニの口を上にして(逆さまに)ビーカーにのせ海水でぬらした脱脂綿をのせ、電気刺激を断続的に与える。
*感電に注意。スイッチは必ず二つとも切る。ぬれた手で扱わない。
B 卵巣、精巣が成熟していればすぐに放卵、放精が起こる。やや黄色っぽいつぶつぶしたものが出れば卵、白っぽく粒が見えなければ精子である。
@ さらに電気刺激を与え必要な量の卵を採取する。
A 電気刺激ではウニはすぐに死なないので、生かしておいて何回も放卵させることが出来る。
B 卵は数時間以内に使用するようにする。必用な量だけ採卵するようにする。
@ 海水に入った精子は活発に泳ぎ短時間(10分ぐらい)で受精能力を失ってしまう。しかし海水を加えなければ保存できる。そのため、雄であることが確認できたら、電気刺激で放精させるのではなく、解剖して精巣を取り出し保存する。
A ウニの口の部分からはさみを入れ、赤道面に沿って切り開き、精巣を取り出す。海水に触れないようにシャーレに入れる。
B これを無水精子と呼ぶ。ラップして冷蔵庫に保管すれば1週間程度受精可能である。
@ ウニの形を観察。口、生殖口、棘、管足の形態、機能、配列に注意。同じ棘皮動物門のナマコ、ヒトデも観察する。
A ウニにワカメをやり摂食行動を観察する。
@ 卵をパスツールピペットで海水ごと吸い取り、枠付きスライドグラスに入れる。
A カバーグラスをかける。
B ろ紙で余分な海水を水を吸いとり、カバーグラスを密着させる。
C 検鏡する
*卵どうしがくっついていないことを確認する(ゼリー層があるため)。
@ 無水精子を少量(米粒大)時計皿に取り海水を加え、精子用のパスツールピペットで軽くピペッティング(ピペットの先端を海水に入れたままでゆっくりと海水を出し入れしてかくはんすること)。白く濁ればその中に精子が泳いでいる。
A 精子の入った海水をパスツールピペットで1滴普通のスライドグラスに滴下する。
B カバーグラスをかけ600倍で検鏡する。絞りを絞りやや暗めが観察しやすい。
*頭部は光って見える。尾を確認する。
@ 卵を海水ごと卵用のパスツールピペットで時計皿に入れる。
A 精子を含む海水をごく少量(1滴)精子用のパスツールピペットで時計皿に入れる。海水が白く濁るのがわからない程度。
B 受精用のパスツールピペットで軽くピペッティングしてから卵をグラスに入れる。観察の方法は未受精卵と同じ。
*受精卵には受精膜が生じていることを確認する。
@ 卵をパスツールピペットで海水ごと枠付きグラスに入れ、カバーグラスを図のように少しずらしてかける。
A 40倍の対物レンズで卵にピントを合わせ、パスツールピペットでカバーグラスをずらしてある隙間から精子を入れる。
B 適当な卵を探し、しばらく観察を続ける。
*精子が卵に進入すると受精膜があがる。この様子を観察する。
バフンウニの受精卵は受精後90分で1回目の卵割をします。
授業時間を考え90分前に人工受精をします。5〜10分後にも人工受精を行います。
最初に受精させたものを時々観察し、卵割がはじまったら10分後に受精させたものをシャーレに入れて生徒に配ります。
1回目と2回目は同じ卵を使い培養するシャーレも同じにして出来るだけ条件を同じにします。
この方法でほぼ確実に卵割の観察が出来るようになりました。
時間を変えて受精をさせた胚をシャーレに入れて教卓の前に並べておきます。生徒はスライドグラスを持って前に来て胚を持って行く。
@ 胞胚期以降の胚は表面近くを泳いでいるので、よく見ながらパスツールピペットで吸いとる。
A スライドグラスに胚がきちんと入ったかどうかを実体顕微鏡かルーペで確認すること。
B 観察の方法は卵と同じ。泳いでいる様子を見るには実体顕微鏡を使う。