蛍光顕微鏡の原理

蛍光物質

ある波長の光(励起光と呼ばれます)を当てると、当てた波長と異なる光(蛍光と呼ばれます)を発する物質のことです。
お化け屋敷などでよく使われている、蛍光塗料はブラックライトで紫外線(励起光)を当てると赤や青の蛍光を発する蛍光物質を使っています。

蛍光顕微鏡とは

蛍光色素で染めた試料に励起光を当て、発する蛍光を観察する顕微鏡です。

励起光に対して蛍光は大変弱いので、視野に励起光を入れないようにする必要があります。
そのためにフィルターブロックと呼ばれる特殊なフィルターのセットを使います。

明視野観察

図の左は蛍光顕微鏡で明視野観察(普通の顕微鏡)を行っているときの図です。
フィルターブロックを入れてありません。また、水銀ランプは消灯しシャッターも閉めた状態です。

光源からの光はプレパラートを透過し対物レンズ、接眼レンズを通り眼に像を作ります。

蛍光観察

図の右は蛍光観察を行っている図です。
レバーやターレット(ダイヤル)を操作してフィルターブロックをセットします。
水銀ランプを点灯し、シャッターを開けます。

@水銀ランプの光には可視光と紫外線が含まれています。

A励起フィルターは励起光だけを透過します(B励起なら495nmの青色光)。

B励起光はCダイクロイックミラーに当たります。ダイクロイックミラーは励起光を反射させる特殊な加工がしてあります。

Bダイクロイックミラーで反射した励起光は対物レンズを通りDプレパラートを照射します。

Dプレパラートの蛍光色素は励起光によってE蛍光を発します(B励起なら519nmの緑色光)。

E蛍光は対物レンズを通りFダイクロイックミラーに当たります。Fダイクロイックミラーは励起光を反射し蛍光を透過します。蛍光はダイクロイックミラーを透過しG吸収フィルターに達します。

G吸収フィルターは蛍光だけを通します。余分な光はここで吸収され、蛍光は接眼レンズを通り眼に像を作ります。
励起光の一部はプレパラートで反射して対物レンズに入りますがダイクロイックミラーと吸収フィルターで遮られ視野には入りません。

この様に蛍光顕微鏡ではフィルターブロック、特にダイクロイックミラーが重要な役割を果たしています。